交通事故でケガをしたため仕事を休んだ場合、保険会社に対して休業損害を請求することができます。

会社員などで収入を得ている人は、休んだ分の損害を請求することができますが、現実的な収入がない主婦はどうなのでしょうか?

会社員であれば、勤務先から給与が出ていますので、仕事を休んで減給になった、有給休暇を消化したことによる損害が認められるのはイメージしやすいと思います。

主婦の場合は、ケガをして家事ができなかった時期もあるはずです。

そもそも主婦も休業損害を請求できるのか?
請求できるならば、どのように計算すれば良いのか? 
パートもしているが、休業損害はもらえるのか?

というような疑問がでてくるかと思います。ここでは、主婦の休業損害についてみていきます。

1 主婦は休業損害をもらえるか

結論として、主婦の場合であっても、事故により家事ができなくなった場合、休業損害をもらうことができます。

なぜなら、主婦がしている家事労働は、社会的には金銭的に評価できるものと考えられているからです。

主婦は特に収入があるわけではありませんが、誰も家事をしなければ家政婦さんなどを雇う必要が出てきますので、家事も会社員の労働と同じようなものとして捉えることができるのです。

そのため、主婦も会社員と同じように休業損害を請求することができるのです。

2 主婦の休業損害の金額

専業主婦の場合

会社員であれば給与の金額がはっきり分かりますが、主婦に給与はありません。

そこで、主婦の場合は、事故前年の賃金センサスの女性労働者の全年齢平均の賃金額を365日で割ったものを日額として計算します。

例えば、平成29年の賃金センサスの女性労働者の全年齢平均の賃金額は377万8200円であり、365日で割ると、日額は10,351円となります。

賃金センサスによる平均賃金は年によってばらつきがありますが、日額にするとおよそ1万円程度となることがほとんどです。

賃金センサスは、学歴などにより細かく分かれていますが、具体的には、「賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢の平均の賃金額」とされています。女性労働者の平均賃金という意味です。

兼業(パート)主婦の場合

主婦として働きながらも、数時間だけパートにでている方も多くいらっしゃいます。

そのような場合、どのように計算するのでしょうか。

それは、兼業主婦の場合1日あたりの基礎収入については、「現実の収入額または女性労働者の全年齢平均の賃金額の金額が高い方」を採用します。

おそらく、ほとんどの兼業主婦が、現実の収入額よりも女性労働者の全年齢平均の賃金額の方が高いため、結局は、専業主婦の場合と同じになります。

3 休業の日数の計算方法

次に、休業日数を見ていきます。会社員であれば勤務先が有給休暇を使った日や欠勤を証明してくれますのでわかりやすいですが、主婦は家にいる場合、家事を休んだことを証明できません。

そこで、入院していた日数・実通院日数を基礎にすることが多いです。

まず入院していた期間は自宅にいませんので、家事を休んでいたという証明ができます。

問題は、通院していた期間です。この場合、ケガや通院の状況などを踏まえて休業日数を判断します。

大きく分けて二通りの計算があります。
①通院した日を休みの日と認定する手法

②事故から完治、または症状固定までの期間において、段階的に休業割合を減らし休業日数を計算する手法
 
①は、わかりやすい方法で、通院した日を、休みの日と認定します。

②は、例えば、事故から症状固定までの期間が120日としたら、最初の30日間は100%休業、次の30日間は75%休業、その次の30日間は50%休業、最後の30日間は20%休業などと計算していきます。

事故当初は一番つらいが、症状は徐々に良くなっていくので、家事も少しずつできるという考え方です。

パーセンテージは決まったものはありませんので、状況によって判断されます。

4 まとめ

いかがでしたでしょうか。主婦も休業損害がもらえるという事がわかったかと思います。保険会社からは教えてくれないこともありますので、主婦の方はしっかりと休業損害をもらうようにしましょう。 

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