弁護士が、会社からご依頼を受けて破産の申立てをする場合、社長、経理担当者、その他の従業員の方から聞き取りをし、貸借対照表、損益計算書などを精査して、破産申立書を作成します。

申立書には、資産、負債の内容の一覧を付け、預貯金、売掛金、在庫商品、不動産、什器備品などの資産、一般債権、抵当権付き債権、労働債権、公租公課などの負債の別を明らかにします。

また、弁護士は、会社の本社、営業所、工場などに出向いて現地を調査するとともに、本社、営業所、工場などを閉鎖します。

そして、閉鎖当日に従業員を集めて、倒産に至った経緯、会社の資産負債の状況、未払いになる給料・解雇予告手当の支払いの見込み、労働者健康保険機構の立替え払い制度、失業保険の受給のための手続、健康保険切り替えの手続、源泉徴収票の交付、今後のスケジュールなどについて説明します。

また、小口現金・預貯金通帳・受取手形・印鑑などを預かる、決算書類や帳簿類・パソコンのデータなどの必要書類の確保、自動車・機械などについて鍵があれば鍵を預かる、本社・営業所・工場などに破産の告知書を貼って鍵を預かるなどのことを行います。

未払い給料の計算、失業保険の受給・健康保険の切り替えに必要な書類の作成、源泉徴収票の作成については、会社の経理を担当している従業員に依頼しますが、この従業員に依頼できないときは、これまで会社と顧問契約をしていた社会保険労務士、あるいはそれ以外の社会保険労務士に依頼します。

債権者・従業員には、弁護士から、受任通知と、債権届出書を促す通知を発送します。

この通知を発送することにより、債権者から会社の社長に対する督促は止まり、債権者は、破産に至った経過、会社の資産・負債の状況、配当可能性、今後のスケジュールについて弁護士に問い合わせてくるので、弁護士が回答します。

また、本社などを閉鎖した当日の集会に参加できなかった従業員から質問の電話がありますので、弁護士はこれにも対応します。

その後は、裁判所への破産申立、裁判所との打合せ、社長を同行しての裁判官との面接、破産管財人との面接、裁判所で行われる債権者集会への参加などを行います。

これらの手続は専門的なものですし、また、資金繰りがショートしている社長はパニック状態ですから、弁護士の関与なしには不可能といってもよいと思います。また、弁護士の受任通知によって、債権者からの督促が止まることもメリットです。

破産手続きを取った場合、当初の数ヶ月、あるいは半年程度は、社長は心が休まることはないと思いますが、その間も、弁護士が債権者、従業員との対応、その他のことを行いますし、社長が資金繰りに追われることもなくなります。

また、この期間を過ぎると破産直後の騒ぎもなくなり、精神的に、社長はずっと楽になるのが一般です。

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法人破産に関するQ&A一覧

No Q&A
1 毎日資金繰りに追われ、夜も眠れません。会社を整理するしかないと思っていますが、どのようにすればよいのでしょうか。
2 破産をするかどうかどうしても決断がつきません。
3 弁護士に破産手続きを依頼した場合、弁護士はどのようなことを行うのですか。また、弁護士に依頼した場合のメリットはどのようなものでしょうか。
4 会社が破産した場合、私が個人で持っている自宅、預貯金、その他の資産はどのようになるのでしょうか。妻が持っている資産についてはどうでしょうか。また、私個人も破産する必要があるのでしょうか。
5 破産手続きをしている間は、他に仕事をすることができないのでしょうか
6 破産をした場合、取引先が会社に押し掛けてくるようなことはないのでしょうか。この場合どうしたらよいでしょうか。取引先が納品した品物が会社内にある場合の対応、リース会社に対する対応などについても教えてください
7 破産をすれば、従業員は解雇せざるを得ないと思いますが、従業員にはどのように対処したらよいでしょうか。未払い給与、解雇予告手当の支払い、社会保険関係の処理について教えてください。また、従業員の私物はどうしたらよいでしょうか
8 労働者健康福祉機構というところが、未払い給与などの立替払いをしてくれるとのことですが、詳しい内容について教えてください
9 破産をすると、どのように手続きが進むことになるのでしょうか。また、破産手続きが終了するまでどの位の時間がかかりますか。(A.裁判手続が開始する前)
10 破産をすると、どのように手続きが進むことになるのでしょうか。また、破産手続きが終了するまでどの位の時間がかかりますか。(B.裁判手続が開始した後)
11 会社が破産する場合、取引先には迷惑をかけたくないので、事前に話をしておきたいのですが。
  また、支払いをしないと倒産しかねない取引先があり、ここには支払いしたいのですが、どうでしょうか
12 会社には、機械類、在庫、土地建物などの資産がありますが、会社が破産をした場合、これらはどうなるのでしょうか。会社の機械類を使って、新たに商売をしたいのですが、このようなことは可能でしょうか。
  また、土地建物について、買いたいという人がいるので売ってしまってよいでしょうか。売却価格が適正なら問題がないでしょうか。
13 会社が破産した場合、会社が賃貸していた建物はどうなるでしょうか。反対に、会社が賃借していた建物はどうなるでしょうか。この他に、敷金・保証金の扱い、借地権についても教えてください。
14 破産をした場合、支払い未了の商品、取引先から預かっていた金型、リース物件、ローン返済中の自動車はどうなるでしょうか
15 破産のために必要な費用としてどのようなものがあるでしょうか。この費用はどのようにして用意したらよいでしょうか
16 取引先Aから、Aが当社に持っている債権について、当社が他社に持っている売掛金を担保に入れるように言われています(債権譲渡担保)。担保に入れることに問題があるでしょうか。会社の売掛金を担保に入れて、新規に融資を受ける場合はどうでしょうか。
また、昨今の不況で業績は悪化し、負債もかなり膨らんでいます。息子が同じ事業を継ぎたいと言ってくれたため、何とか息子のために事業を残したいと考え、息子が代表となる別の新会社に対し、私が経営する会社の事業設備を贈与したり、新会社が負担すべき債務を肩代わりして弁済したいと思っていますが、大丈夫でしょうか
17 破産をした場合、いろいろ制限があり、郵便物が破産管財人のところに行ったり、旅行をするにも許可が必要ということ聞きました。また、就職するにも制限があるようですが、制限の内容はどのようなものでしょうか。取締役にはなれるのでしょうか
18 会社が破産することになりましたが、会社のいくつかの事業の中で、利益をあげている部門があるので、社員のためにも、この事業だけは継続したいと思っています。このようなことは可能でしょうか
19 会社が破産する場合、係争中の訴訟はどうなりますか。法人税や消費税の申告をする必要はあるでしょうか。財産を隠したり、虚偽の報告をするとどうなりますか
20 法人破産をした具体例について知りたいのですが、事例があったら教えてもらいないでしょうか