離婚前であっても、また離婚前であっても、離婚した際の条件を定めておくことはできます。

ただし、そのような定め、約束は、口頭でもできますが、後の紛争を未然に防止するためにも、書面にしておくことをお勧めします。

離婚前に離婚条件をあらかじめ書面で定めておくものは、一般に、「結婚契約書」とか「婚前契約書」と呼ばれるもので、離婚の条件以外にも、ふたりの結婚生活に関する約束を契約書面という形で残すことがあります。

具体的には、離婚条件のほか、婚約や結婚生活をする上でのルール、お金、不倫や浮気に関する約束事などを盛込みます。

口頭では「うやむや」にされてしまう約束も、契約書にすることで、ごまかすことや、約束を覆すことを防ぎます。近年、不安のない結婚生活を送るために、結婚契約書や婚前契約書を活用する方が増えてきているようです。

また、結婚後離婚前に作成するものとしては、「離婚協議書」と呼ばれるものがあり、離婚条件を明確にします。

これらの内容については、基本的には、「契約自由の原則」という法律の原則に基づき、夫婦それぞれの約束・内容に合わせた契約書を自由に作成することが可能です。

ただし、法律の最低限のルールとして、民法上、「公の秩序や善良な風俗を害してはならない」、「犯罪等、不法なことを条件にしてはならない」といったものがあります。そのため、それらの法的なルールに反しないことは必要です。

また、それらの書面については、当事者間のみで作成することも可能ですが、お金の支払い等が内容にある場合には、強制執行認諾約款付きの公正証書にすることをお勧めします。

例えば、離婚に際して、夫が妻に対し、慰謝料として100万円を支払う内容が明記されていたとしましょう。

当事者で定めた書面の場合、仮に夫が妻からいくら請求しても100万円を支払わなかった場合、妻は、改めて裁判等を起こす必要があります。

一方、強制執行認諾約款付きの公正証書にしていた場合、夫が支払わなかった場合は、直ちに、妻は強制執行をすることができ、夫の給与や財産などを差し押さえ、そこから金銭の支払いを受けることができます。

その意味で、強制執行認諾約款付きの公正証書にしておくことで、強制力が伴うことになります。

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