会社が破産手続を行っている期間であっても、社長が破産していない場合はもちろん、社長も会社とともに破産した場合であっても、他の会社に再就職をすることは禁止されていません。
生活していかなければならないのですから、他の会社に就職し、生活の糧を得ることは当然です。
もっとも、社長が破産をした場合には、業種によっては資格制限を受ける(就職することができない)ことがあります。
例えば、警備員や生命保険外務員などは、破産が、認定や登録の取消事由になっており、破産手続開始決定から免責許可が確定するまでの期間は、これらの仕事をすることができなくなります。
それでは、会社が破産したことから、これまで会社が行っていた事業について、社長個人が個人事業として行う場合はどうでしょうか。
たとえば、会社として塗装業を行っていたが、会社が破産したことから、個人として塗装業を行う場合です。
これも、社長が破産した場合であっても問題はありません。
また、会社が破産し社長個人も破産した後、破産した社長が新たに会社を作り、代表取締役となって、破産した会社と同じような事業をしていくことはできるでしょうか。
社長が破産をした場合でも、会社を作ることはできますし、新たに取締役に就任することもできますので、これも可能です。
ただ、建設業などの場合、破産後、復権を得ない者(免責許可決定の確定しない者)は欠格要件にあたり、建設業の許可を取得できない可能性がありますので、この点は注意をしてください。
なお、上記のとおり、個人として事業をしていく場合でも、あるいは新たに会社を作って事業をしていく場合でも、破産した会社の資産を使って事業をしていくことはできません。破産した会社の資産については、破産管財人が売却するなどして換金し、これを債権者に配当しなければならないからです。
もちろん、会社の資産の一部について、破産管財人から買い受けることができるなら、これを使うことはもちろん可能です。
また、会社の資産といっても市場価値がなく、これを処分するだけでもお金がかかることがあります。
たとえば、古い機械設備などです。このような場合、引き取るというだけで、破産管財人が無償で譲ってくれる場合もありますから、破産管財人と交渉してみることも大事です。
ちなみに、会社の資産を隠し、これを社長個人の新たな事業に使うことはもちろんできません。財産隠しは犯罪であり、詐欺破産罪という犯罪行為として、破産管財人から刑事告訴されたりします。
また、このような財産隠しをすれば、社長個人が後に免責決定をもらうことの大きな障害になり、免責されない(債務をゼロにすることができない)ということも十分に予想されます。
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