① 支払い未了の商品

原則として、支払い未了であったとしても返品する必要はありません。

代金の支払いを受けていない売主は、破産手続きの中で破産債権者として扱われることになります。

もっとも、例外的に、売主が先取特権を行使して、競売開始決定まで取得しているような場合には、返品することについて慎重な検討が必要です。

したがって、基本的には、破産管財人に未払の商品も含めて引継をすべきと考えられます。

② 金型

取引先から預かっている金型は、そもそも会社(破産者)が所有する財産ではなく、取引先に取戻権が認められるので、これを返還しなければなりません。

しかし、例外的に、取引先が返還を請求せず金型を使用しての製作物の供給を一定期間継続(他の取引先が見つかるまでなど)したいとの申入れがあり、破産管財人がこれを受け入れた場合には、引き続き金型の使用を許されることになるので、保管を続けることになります。

この場合、金型を使用する必要性がなくなった段階で、速やかに取引先に返還することになります。

③ リース物件

リース物件はあくまでリース会社が所有するものですから、会社が破産し、リース契約が解除されれば、所有権を有するリース会社に返還しなくてはなりません。

ただし、リース期間がすでに満了している、引き揚げを求めるだけの価値がないなどの理由で、リース会社が引き揚げしない、その所有権を放棄するということであれば、所有権放棄書をリース会社から差入してもらった後、破産管財人が適宜処分することになります。

リース物件が会社の建物内に残っていると、建物の明渡しに影響することがありますので、リース中のOA機器などは、速やかに処理をする必要があります。

④ ローンを組んで返済中の自動車

自動車をローンで購入する場合、通常はローン会社が所有権を留保、つまり、信販会社名義にすることが一般的です。

そこで、まず確認すべきなのが、車検証の所有者欄が誰になっているかという点です。

自動車の所有者欄に、自動車販売会社や信販会社の名称が登録されている場合、その所有権留保は破産手続との関係でも有効ですので、原則として自動車は信販会社などに引き揚げられ、仮に処分価格が残債務額を上回れば代金を返還してもらいます(信販会社には清算義務があります。)。

これに対し、契約上は所有権留保の特約があるのに、所有者欄が破産会社の名称になっている場合には、その所有権留保は、破産手続きの関係では主張できないので、引き揚げに応じる必要はなく、破産管財人に自動車を引き継ぎ、換価手続をしてもらいます。

なお、登録制度の存在しない軽自動車は、占有が誰にあるかという点を基準に所有権留保の主張の可否が決まってきます。

そこで、誰が軽自動車を占有しているのかを見極めたうえ、占有の認められる自動車販売会社や信販会社から引き揚げを求められた場合には、引き揚げに応じる必要があります。

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法人破産に関するQ&A一覧

No Q&A
1 毎日資金繰りに追われ、夜も眠れません。会社を整理するしかないと思っていますが、どのようにすればよいのでしょうか。
2 破産をするかどうかどうしても決断がつきません。
3 弁護士に破産手続きを依頼した場合、弁護士はどのようなことを行うのですか。また、弁護士に依頼した場合のメリットはどのようなものでしょうか。
4 会社が破産した場合、私が個人で持っている自宅、預貯金、その他の資産はどのようになるのでしょうか。妻が持っている資産についてはどうでしょうか。また、私個人も破産する必要があるのでしょうか。
5 破産手続きをしている間は、他に仕事をすることができないのでしょうか
6 破産をした場合、取引先が会社に押し掛けてくるようなことはないのでしょうか。この場合どうしたらよいでしょうか。取引先が納品した品物が会社内にある場合の対応、リース会社に対する対応などについても教えてください
7 破産をすれば、従業員は解雇せざるを得ないと思いますが、従業員にはどのように対処したらよいでしょうか。未払い給与、解雇予告手当の支払い、社会保険関係の処理について教えてください。また、従業員の私物はどうしたらよいでしょうか
8 労働者健康福祉機構というところが、未払い給与などの立替払いをしてくれるとのことですが、詳しい内容について教えてください
9 破産をすると、どのように手続きが進むことになるのでしょうか。また、破産手続きが終了するまでどの位の時間がかかりますか。(A.裁判手続が開始する前)
10 破産をすると、どのように手続きが進むことになるのでしょうか。また、破産手続きが終了するまでどの位の時間がかかりますか。(B.裁判手続が開始した後)
11 会社が破産する場合、取引先には迷惑をかけたくないので、事前に話をしておきたいのですが。
  また、支払いをしないと倒産しかねない取引先があり、ここには支払いしたいのですが、どうでしょうか
12 会社には、機械類、在庫、土地建物などの資産がありますが、会社が破産をした場合、これらはどうなるのでしょうか。会社の機械類を使って、新たに商売をしたいのですが、このようなことは可能でしょうか。
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13 会社が破産した場合、会社が賃貸していた建物はどうなるでしょうか。反対に、会社が賃借していた建物はどうなるでしょうか。この他に、敷金・保証金の扱い、借地権についても教えてください。
14 破産をした場合、支払い未了の商品、取引先から預かっていた金型、リース物件、ローン返済中の自動車はどうなるでしょうか
15 破産のために必要な費用としてどのようなものがあるでしょうか。この費用はどのようにして用意したらよいでしょうか
16 取引先Aから、Aが当社に持っている債権について、当社が他社に持っている売掛金を担保に入れるように言われています(債権譲渡担保)。担保に入れることに問題があるでしょうか。会社の売掛金を担保に入れて、新規に融資を受ける場合はどうでしょうか。
また、昨今の不況で業績は悪化し、負債もかなり膨らんでいます。息子が同じ事業を継ぎたいと言ってくれたため、何とか息子のために事業を残したいと考え、息子が代表となる別の新会社に対し、私が経営する会社の事業設備を贈与したり、新会社が負担すべき債務を肩代わりして弁済したいと思っていますが、大丈夫でしょうか
17 破産をした場合、いろいろ制限があり、郵便物が破産管財人のところに行ったり、旅行をするにも許可が必要ということ聞きました。また、就職するにも制限があるようですが、制限の内容はどのようなものでしょうか。取締役にはなれるのでしょうか
18 会社が破産することになりましたが、会社のいくつかの事業の中で、利益をあげている部門があるので、社員のためにも、この事業だけは継続したいと思っています。このようなことは可能でしょうか
19 会社が破産する場合、係争中の訴訟はどうなりますか。法人税や消費税の申告をする必要はあるでしょうか。財産を隠したり、虚偽の報告をするとどうなりますか
20 法人破産をした具体例について知りたいのですが、事例があったら教えてもらいないでしょうか