① 郵便物の制限
会社の社長は、会社の金融機関などに対する債務につき連帯保証していることが多いため、会社が破産した場合、社長も破産しなければならないことがほとんどです。
この場合、社長に対する郵便物は、いったん破産管財人に転送され、破産管財人がこれをチェックすることができます。
これは、社長に来た郵便物から、社長の個人資産が判明することがあるからです。
例えば、銀行から郵便物が来ていれば、その銀行に社長の口座があることが分かりますし、固定資産税の納付書が来ていれば、社長が不動産を持っていることが分かります。
破産管財人のところに行った郵便物については、社長は返還を求めることができ、定期的に破産管財人の法律事務所に赴き、郵便物を受け取ります。
破産管財人によっては、定期的に郵便物を社長に郵送してくれるところもあります。
なお、破産管財人が郵便物を社長に郵送する場合、再度の転送防止のために破産管財人からの発送である旨を封筒に記載します。
破産管財人からの返還の方法については、破産管財人に対して要望を伝えておけばよいと思います。
また、破産手続きが終了すればこの制限もなくなります。
② 旅行の制限
社長が破産をした場合、一定日数の宿泊を伴う旅行については裁判所の許可が必要とされます。
裁判所の許可を得るために、行き先と目的、旅費などを明らかにしますが、ほとんどの場合は許可してもらえますので、大きな制限になることはありません。
海外旅行の場合でもこれは同様で、破産管財人との面接、裁判所での債権者集会への出席などに支障がある、多額の費用を使い、その費用の出所に疑問があるというようなことがない限り、許可してもらえます。
また、パスポートに破産したことが記載されることはありませんし、出入国審査の際に破産のことを聞かれることもありません。
また、破産手続きが終了すればこの制限もなくなります。
③ 就職の制限
社長が破産をした場合、一定の職業・資格などに一時的につけなくなります。
例えば、税理士、司法書士、宅地建物取引士、宅地建物取引業、生命保険募集人、商工会議所会員、商工会会員、警備員、警備業者など、法律によって決められています。
ただ、ほとんどの職業制限は一般の方にとって大きな影響があるものではなく、警備員、生命保険募集人、宅地建物取引士などがたまに問題になるという程度のことかと思います。
また、破産手続きが終了すればこの制限もなくなります。
④ 取締役の制限
会社と取締役は委任関係になりますが、取締役である社長が破産した場合、民法では、破産が委任契約の終了事由とされている関係で、社長は取締役を退任することになります。
しかし、再度、取締役に選任されれば、取締役になることができるので、新たな会社を設立して、その会社の取締役となる、あるいは、他の会社から誘われてその会社の取締役になるということは可能です。
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