逮捕に引き続く手続き
子供(ここでは14歳以上20歳未満の少年とします)は、逮捕された後は、48時間以内に、警察官から検察官に、事件が送られることになります。
検察官は、送致を受けてから、24時間以内に、少年を引き続いて身柄拘束するのか、釈放するのかなどを決定します。
すなわち、少年は、最大で72時間、警察署の留置場にいることになります。
検察官は、少年を逮捕により引き続き身体拘束すると決めた場合、検察官は裁判所に対して、勾留請求をすることになります。
検察官による勾留請求が認められた場合、少年は、引き続き10日間留置場又は少年鑑別所にいることになります。
そして、さらに、検察官の勾留延長請求をして、それが認められれば、さらに10日間の留置場また少年鑑別所に居ることになります。
少年に対して勾留がなされた場合、逮捕及び勾留によって、23日間も留置場などに居ることになる事態となります。
なお、少年の場合には、勾留に代わる観護措置という制度があります。
検察官が勾留請求する代わりに、少年鑑別所装置の観護措置請求をすることがあります。
勾留に代わる観護措置においては、勾留と異なり、身体拘束期間は10日間であり、期間の延長は認められていません。
全件送致
検察官は、少年に対する捜査が終了次第、事件を家庭裁判所に送致することになります。
成人の場合には、検察官の裁量で、起訴しないとする不起訴処分とすることがありますが、少年事件の場合には、検察官にそのような裁量はなく、すべての少年事件を家庭裁判所の送ることとなっています。これを全件送致といいます。
観護措置決定
家庭裁判所は、少年が身体拘束された事件を受理すると、まず、観護措置をするべきかを判断します。
観護措置とは、少年を少年鑑別所において、原則2週間、最大8週間収容する処分のことです。
少年鑑別所では、専門的知見に基づいて、少年の非行の原因や今後どのようにすれば少年が更生できるかということについて分析がなされます。
観護措置が取られない場合、少年は釈放されます。
少年審判
少年法は、できるだけ処罰するのではなく、教育的手段によって、少年の非行性を矯正し、更生を図ることを目的としています。
家庭裁判所に、事件が送られた場合においても、少年が犯罪などを行ったとはいえない場合や、教育的な働きかけにより、すでに少年に対して、少年審判をする必要がないと判断された場合には、少年審判は開始されません。
これを審判不開始といい、少年は通常の生活に戻ります。
審判不開始に該当しない場合には、少年審判という手続きが開かれることになります。
少年審判は、非公開の手続きです。家庭裁判所の手続きですので、別途の決定がなければ、検察官は手続に関与しません。
少年審判では、裁判官(審判官)から、少年本人、調査官、付添人や親御さんなどに対して質問などがなされ、基本的に、終局的な処分が1回目の期日で決定されます。
審判に際しては、検察官が家庭裁判所に送致する際の、処分についての意見、観護措置による鑑別結果通知書、調査官による調査結果なども参照され、当該少年の更生のためには、どのような手段ないし処遇が最適なのかについて、慎重に判断がなされることになっています。
調査又は少年審判を行ったうえで、試験観察として、さらに調査官の観察に付する決定をする場合があります。
不処分決定
少年審判の中で、少年が犯罪などを行ったとそもそも認定できない場合や、教育的な働きかけの結果として、保護処分などの必要がないことが確認された場合、不処分(決定)となります。
少年に対して、何らの処分もなされないという決定ですから、少年は通常の生活人戻ります。
保護処分決定
保護処分とは、少年を保護するための処分です。
保護処分には、保護観察、児童自立支援施設等送致、少年院送致などがあります。
保護観察とは、少年を家庭においたままで、保護観察官や保護司が生活指導をすることにより、少年の改善更生を図ることをいいます。
児童自立支援施設等送致とは、少年を児童の自立を支援する施設に送ったうえで、改善更生を図ることをいいます。
児童養護施設に送ることをと児童養護施設送致といいます。
これらは、少年を取り巻く環境に問題があり、施設における生活指導をする必要があると判断された場合の措置です。
少年院送致
少年を施設に収容し、矯正教育を与えることによって、社会生活に適応させる必要があるとした場合の措置です。
知事又は児童相談所送致
18歳未満の少年については、児童福祉法による措置が妥当である場合には、児童福祉機関に送られます。
検察官送致
少年が殺人などの重大な犯罪を犯した場合や、少年が20歳以上の年齢に達した場合には、家庭裁判所は事件を再び検察官に送ることになります。
この場合には、成人と同様に通常の刑事事件として手続きが進みます。
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