万引きというと軽い罪状に思われますが、法的には万引きは「窃盗」であり、その法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっています(刑法235条)。
窃盗の疑いをかけられ、逮捕された方はニュースなどでは、「容疑者」などと呼ばれることが多いのですが、法的には「被疑者」と呼ばれる立場になります。
警察官はこの被疑者を48時間以内に検察官に送致することになっています。
ただし、その窃盗の悪質性が低かったり、被疑者本人が反省している、被害者の処罰感情が大きくないなどの事情がある場合には、「微罪処分」といって、警察の判断によってそれ以上の刑事手続がなされないこともあります。
微罪処分とされずに、検察に送られると、その検察は24時間以内に「勾留」といって更なる身体拘束を求めるか(勾留請求)、在宅で捜査などを続けるか(在宅事件)を判断します。
逮捕からの48時間及び検察に送致されてからの24時間の計72時間については、たとえ親やきょうだい、配偶者や子などの家族であっても、被疑者と面会することはできず、面会が許されるのは弁護士だけとなります。
検察は、勾留すべきと判断すると「勾留請求」をし、これを受けた裁判所は、検察の求めのとおりに勾留をすべきか否かを判断するために、検察から送られてきた捜査記録等を見るほか被疑者本人に対し「勾留質問」を実施します。
勾留質問は、黙秘権なども認められているほか、裁判官に対して自分にかけられている嫌疑(これを「被疑事実」といいます。)について自分の言い分を言うことができます。ですから、もし被疑事実について思うところがあれば、被疑者は一部または全部を否定することもできますし、逆に全面的に認めるということも可能です。
上記でも述べているとおり、被疑者は逮捕されてしまい、勾留請求がされるまで、既に72時間(3日間)の身体拘束を受けます。
さらに勾留決定が出てしまうと、そこから10日間、またその10日間で起訴・不起訴を検察が決められない場合には10日間の勾留延長がされる可能性があり、在宅事件とならず身柄事件となってしまった場合には1つの被疑事実について起訴されるまでに最大で23日間身体拘束を受けてしまうのです。
なお、勾留決定がされた場合で、私選弁護人のなり手が見つからず、かつ被疑者の資産が50万円以下というときは、国選弁護人を選任してもらうことができます。
しかし、国選弁護人は就けられる段階よりももっと早い段階、つまり逮捕段階において弁護士が就いている場合には、必要に応じて弁護士から意見書を出して検察に勾留請求をさせないように働きかけたり、勾留請求をされても裁判官と面接をするなどして、そもそも勾留を認める「勾留決定」が出されないように活動してもらうことなども可能になります。
被疑事実について十分な証拠を得られなかったり、被害者からの被害届が取り下げられるなどすると、検察にから「不起訴処分」としてさらなる刑事手続をされないで済んだり、「処分保留」としてひとまず釈放されることもあります。
不起訴処分・処分保留にもならず起訴されてしまった場合には、裁判所で公訴事実(刑事裁判の審理対象となる犯罪事実として起訴状に明示されている事情のこと)の有無及び刑事責任などについて争われることとなります。
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