医師が有罪判決を受けた場合、刑事罰だけでなく行政処分が下され、その後の医師免許再取得も非常に難しくなります。医師の行政処分を行っているのは、厚生労働省の医道審議会であり、医師法などに基づき、処分が下されます。

医師の場合、罰金刑以上の有罪判決を受ければ、医業停止処分や免許取消処分しといった厳しい行政処分が下されることになります。

そのため、もし、実際に罪を犯し、被害者がいるのであれば、被害者と示談することをおすすめします。

被害者との示談成立は、事件の解決を意味します。

ただし、被害者との示談は、捜査機関が被害者の連絡先を明かさないため直接連絡することは不可能である、被害者の感情を害する等の理由で弁護士に依頼するケースが一般的です。

反対に、もし、身に覚えのないことで逮捕されてしまった場合、決して犯罪行為を認めるべきではありません。

取調べの際に作成される供述調書は、裁判時に強力な証拠となります。

また、後からこれを覆すのは困難だからです。弁護士が来るまでは、黙秘を貫いた方が賢明でしょう。

特に、治療行為に関連した業務上過失致死罪などの場合は、早い段階で弁護士と協力して、反論できる証拠などをそろえることが必要です。

また、医師が逮捕された場合、実名報道されることが考えられます。

警察の発表や、報道機関には、どういった事件を報道するのか明確な基準はないそうです。

しかし、公共性・社会性・話題性・重大性を総合的に判断して、報道するようですので、報道される可能性は十分にあるものと考えられます。この点、弁護士に依頼することで、逮捕直後の報道を回避するよう意見書を提出してもらうことが可能です。

ただし、有罪判決後に下される行政処分は、厚生労働省から公表されますので、それをメディアが報じることで、インターネット上に記録が残ることになってしまうでしょう。

また、勤務医の場合、医療法人との間で結ばれた雇用契約によって、懲戒解雇とされることが考えられます。

雇用契約の内容にもよりますので、どういった処分が下されるのかは、病院側と調整することになるといえます。

医師の行政処分に関しては、免許取消・医業停止(業務停止)・戒告の3つがあります。処分内容の決定に関しては、厚生労働省が公表している『医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について』にまとめられています。

それによると、処分の決定は、刑事処分の量刑・執行猶予の有無・裁判結果などが参考とされ、刑事事件に至らない医療過誤(医療ミス)でも、明確な注意義務違反に認められる場合は処分対象となります。

逮捕されたことだけを理由に、医師免許を取り消されるということはありませんが、起訴され、罰金刑・懲役刑・執行猶予含む判決が下された場合は、免許を取り消される可能性があります。

免許取消処分受けた場合、再交付されるには、欠格期間を経る・再教育研修を受ける必要があります(ただし、再教育研修を受けたからといって、再交付されるとは限らないようです)。

欠格期間は、罰金刑の場合にはその執行後罰金以上の刑に処せられずに5年を経過するまで、執行猶予の場合には執行猶予期間満了まで、実刑の場合には刑の執行満了後、罰金以上の刑に処せられずに10年経過するまでとされています。

医業停止処分を受けた場合、3年以内を目安として医療行為に携わることが禁止されます。

医師免許の停止ともいいます。停止期間後、再教育研修を受けることで復帰することは可能です。

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