皆さまは,一度は「児童ポルノ」という言葉を聞いたことがあると思います。
ニュースでも取沙汰されることも多く,その話題性から実名報道されるケースもあります。
最近は,かの「るろうに剣心」の作者和月伸宏先生が児童ポルノの単純所持で書類送検された,などというニュースが記憶に新しいところです。
しかし,そもそも,児童ポルノとは,どういう犯罪なのでしょうか。
まずは,児童ポルノの法律について確認していきましょう。
児童ポルノとは
まず,児童ポルノについては,「刑法」ではなく,「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年5月26日法律第52号)」に規定されております。
詳しい方は,略して,「児ポ法」などと呼ぶことがあります。
では,児童ポルノとは一体何かと言いますと,児童(18歳未満の男女)の一定の姿態が記録された写真や画像データのことです。
つまり,一定の姿態とは,①児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為(オーラルセックスなど)に係る児童の姿態のみならず,②他人が児童の性器等(性器,肛門,乳首)を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものや,③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものがこれに当たります。
具体的には,児童が性行為している様子,児童の性器を触ったり児童が他人の性器を触る様子,裸の児童の様子などが映っている写真や映像のことです。
何をすると違反になるの?
それでは,あなたのパソコンやスマートフォンに児童ポルノが保存されていた場合には違法となるのでしょうか。
答えはYES。
例えば,18歳未満の女子の性行為を移した裏のアダルトビデオを持っていたら,列記とした「児ポ法違反」となります。
また,当然ですが,所持していただけで違法なのですから,これを他人に提供したり,製造したりすることもまた,「児ポ法違反」です。なお,製造とは,自分で写真を撮ることはもちろん,例えば,Twitterで知り合った女子中学生にLINEで裸の画像を撮影させることもこれに当たります。
児ポ法の違反になるとどうなるの?
・自分のために所持した場合は?
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
・他人に製造・提供した場合は?
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
・不特定多数に提供、又は公然と陳列した場合は?
5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金,又はこれを併科(両方科すこと)
児ポ法で逮捕された場合の流れ)
児ポ法の違反で逮捕された場合,逮捕されてから48時間以内に検察官に事件が送られます。検察官は,その後24時間以内に,釈放するか勾留請求するかを決定します。そして,検察官が勾留請求をした場合,速やかに裁判官が勾留を認めるかどうかを判断します。
勾留をするかどうかは,罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがあるかどうかで判断します。
一度勾留された場合,10日間は身柄拘束の効力が及びます。
さらに,同一の事件について,もう10日間(勾留されてから初日を含め最大で20日間)まで,勾留が延長される可能性があります。その後,検察官は,起訴/不起訴(起訴猶予)を決定します。
もし,児ポ法の中では比較的軽い児童ポルノの「所持」で逮捕されたとしても,勾留されるおそれは当然にあります。
そして,逮捕されたあなたやご家族が仕事を持っている方の場合には,20日間も仕事を休むとなると,会社やご家族にとっては致命的となります。
また,逮捕・勾留が続いていると,報道機関に報道されるリスクがより高まると考えられます。
児ポ法で逮捕された場合の影響を最小限にして罪を軽くするには?
万一、あなたやそのご家族が,児ポ法違反で逮捕された場合には,速やかに弁護人を選任することを勧めます。
児ポ法も故意犯ですので,児童ポルノを認識し,かつこれを所持等することを認容していることが犯罪成立の要件となっております。
従って,もしこのような認識がなく故意がない事案であったとしても,弁護人の助言が遅れ、自白する調書が作成されてしまったのでは,無罪を争うことも難しくなるでしょう。
また,児ポ法の違反は争いがないとしても,勾留を避けるためのあらゆる活動に取り組みます。
例えば、弁護人は,ご依頼を受けたら直ちにご家族等から身元引受書を取付け,その他の有益な資料を収集し,検察官や裁判官に対して勾留をしないよう意見を述べます。
また,警察署での接見は24時間体制ですし,検察庁や裁判所での接見もできますので,勇気づけもできます。
さらに,被害者となる児童がおられる場合には,被害者(厳密にはその法定代理人の親権者)に対して示談交渉を開始し,示談成立を目指します。
被害届取下げや許してもらうことを目指し,起訴されないように最善を尽くします。
なお,被害者と示談が成立すれば「絶対に」起訴されないという訳ではありません。
これは犯行の態様や前科前歴などの事情を加味して,検察官が判断します。
しかし,仮に起訴されたとしても,示談や被害弁償ができている場合とできていない場合とでは,その量刑の差には目を見張るものがあります。
示談交渉は,第三者である弁護人でないと進めることができません。
できれば勾留決定前の段階から,早期に弁護人が選任されることが大切です(国選弁護人というのは,弁護人がランダムで選ばれるほか,勾留された「後」,つまり10日間は勾留されたことが決まった段階で初めて選任されます)。
児ポ法違反でお困りの場合
当事務所には,児ポ法で示談を成立させたり,裁判で情状酌量を求めた経験のある弁護士が複数在籍しております。
捜査前でも構いませんので,気になることがあれば当事務所までご相談されてはいかがでしょうか。
刑事弁護の専門サイト
下記の「刑事弁護」の専門サイトもご覧ください。