交通事故での治療費には健康保険は使えないと聞いたことはありませんか?
通院先の病院などで、「交通事故の場合は健康保険を利用できません」などと断られるケースが実際にあります。
誤解が多いのですが、結論として、交通事故の場合であっても、交通事故の治療のために健康保険を利用することは可能です。
健康保険の使い方
交通事故のように、他人の行為が原因の病気やケガを「第三者行為災害」といいます。
第三者行為災害は、当該加害者である「第三者」がその治療費等を負担するため、健康保険が負担するものではありません。
そこで、加害者のいる交通事故で健康保険を利用する場合は、「第三者行為届」を健康保険協会に提出しなければなりません。
これは、全国健康保険協会(「協会けんぽ」)が負担する7割部分を後に、加害者に請求するためです。
まずは、この第三者行為災害の届け出をしましょう。
健康保険組合等に対して「第三者行為による傷病届」等所定の書類を提出する必要があります。
社保や共済の場合は、加入の健康保険の窓口に所定の書類があったり送ってくれたりするので連絡をしてみてください。
国保の場合は、居住の市町村窓口に届け出資料があります。
健康保険を使えない場合
注意しなければならないのは、健康保険を利用できない場合があることです。
それは、仕事中や通勤途中に交通事故で怪我をした場合です。
この場合は、健康保険を利用することはできません(健康保険法第1条、第55条。)。
いわゆる労災が使われる場面だからです。
健康保険と労災保険は、どちらかしか利用することが出来ない関係にあり、仕事中や通勤中の交通事故や怪我については、必ず労災保険を使わなければなりません。
誤って健康保険を利用した場合、手続きが非常に面倒になるので、ご注意ください。
健康保険を使うメリットとデメリット
メリット
健康保険を使うメリットは、健康保険が治療費の7割を負担してくれるので、自己負担額が安くなることです。
これは、交通事故で被保険者に過失がある場合に過失割合が高いほど顕著になります。
なぜなら、被保険者の過失割合が高い場合は、治療費を保険会社に負担してもらっていると思っても、実際は、ご自身で過失分を負担しているからです。
そして、医療機関は、健康保険を使用しない場合は、医療費を2倍近く高く請求しているのです。
健康保険を使っている場合は、通常の医療費の額となります。
過失が大きいときには、健康保険の利用を積極的に検討しましょう。
デメリット
健康保険を利用するデメリットは特にありませんが、しいて言うと、前述の「第三者行為による傷病届」等の書類を出すのが面倒であることです。
まとめ
いま見てきたとおり、交通事故で健康保険が使えないというのは、誤りでしたね。
ただし、労災が適用される場面では利用できませんのでご注意ください。
使って良い場面かどうかわからない場合は、交通事故専門の弁護士に相談をしてみましょう。
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