離婚を考えるに至った理由については,十人十色で様々な理由があると思います。
では,離婚を決意するに至った方は,果たしてどのような手続を踏めばよいのでしょうか。お悩みの方が数多くいらっしゃいますので,まずは,パートナーと離婚するための諸手続について見ていきたいと思います。
1から手続について淡々と説明されたとしても,ご自分がどうすればよいのか分からないことが多くございます。そこで,フローチャート式にご覧いただきたいと思います。
該当する項目の詳細は下部にありますのでご参照ください。
①協議離婚について
協議離婚は,夫婦が話合って離婚する方法です。
最もオーソドックスな離婚方法と言えます。
協議離婚する場合に大切なことは,ⅰそもそも離婚できる状況であるかを知ること,および,ⅱ離婚条件の相場についても知っておくことです。
夫婦で話し合って解決する方法ですので,条件の定め方は様々であり,杓子定規に決める必要はありません。また,調停や裁判といった面倒な手続を踏む必要もなく,先に述べたとおり,知っておくべきことを知っていれば,後で後悔するようなこともないと思います。
もっとも,離婚というのは,人生の中で数少ない,重要な分岐点です。そこで,多少は費用がかかりますが,より安心して手続を進めるために,弁護士に依頼することもご検討いただくと良いと思います。
弁護士に依頼することもメリットは,そもそも離婚をしたい相手方と直接の交渉をしなくて済みます(弁護士が窓口になってくれます)ので,離婚後の新生活を見据えた環境調整に力を注ぐことができます。
また,弁護士による交渉は,弁護士が様々なメリット・デメリットを総合的に考えた上で進めるので,あなたにベストな解決策が見つかる可能性が高いことです。
弁護士は,「裁判になったらどうなるか」という視点を持っています。そこで,あらかじめ,依頼者と綿密に打合せをして,最も穏当な交渉手段を駆使し,相手方との交渉に挑むことが可能となります。
結果的には,弁護士に依頼せずに交渉するよりも「弁護士に依頼して良かった」と思えるのではないかと思います。
②法律相談について
法律相談は,あなたがどのような状況にいるかにかかわらず,法的アドバイスを受けられる身近な方法です。また,弁護士に依頼するよりも安く法的アドバイスが受けられるので,使い勝手も良いと思います。
もちろん,弁護士に代理人を依頼するよりは,一般的な回答になってしまうことは否めませんし,相手方との窓口になることまではできませんが,少しでも分からないことがあれば,法律相談をしてみるのを強くお勧めします。
③調停離婚について
調停離婚は,管轄の家庭裁判所で行われる調停を用いて離婚する方法です。
日本では,離婚裁判をする夫婦は,離婚調停を先に行わなければならず(調停前置といいます),裁判により決着を付けることを視野に入れている場合には,避けては通れません。
ただ,調停は,家庭裁判所を介しますが,あくまでも話合いによる解決を目指す場であり,その意味では協議離婚の延長線とも言えます。
調停離婚でも,弁護士に依頼することがメリットになります。
つまり,調停離婚では取決めが調停調書として残りますので,判決と同じ効力を持ちます。
例えば,金銭の支払いを約束したのにこれを履行しなかった場合には,後日,この調停調書をもとに,強制執行(国の力を借りて取り立てること)をすることが可能となります。
他方で,調停調書で定めなかったことを後から蒸し返すことは容易ではなく,ここに記載しなかったことは,多くの場合,ないものとして扱われます(これは清算条項,つまり当事者間には調停調書に記載したほかに債権債務がないことを確認する旨の条項を入れるためです)。
ところで,調停委員は当事者の一方の味方にはなってくれません。
つまり,裁判所が,離婚する場合のあなたの正当な権利・利益を保証してくれることはありません。
従って,弁護士に依頼することで,あなたの正当な権利・利益を守ることが大切です。
なお,調停では,原則として当事者の方には出廷してもらいますが,ご都合等によっては弁護士のみが出廷することも可能ですので,利便性があります。
④離婚原因について
相手が離婚に合意していないのに、裁判(法律の力で)で離婚しようという場合は、民法770条1項で決められた下記の5項目のいずれかに該当する離婚原因がないと離婚できません。
ⅰ 配偶者に不貞な行為があったとき。
ⅱ 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
ⅲ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
ⅳ 配偶者が強度の精神病にかかっており、回復の見込みがないとき。
ⅴ その他、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき。
ⅱの「悪意で遺棄されたとき」とは、例えば、夫が妻子を放置して同居せず、婚姻費用も分担しないというような場合を言います。
ⅴの「婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」とは、婚姻関係が破たんし、夫婦共同生活の回復の見込みがない場合を言いますが、具体的には、常軌を逸した暴力、重大な侮辱、浪費、性的異常、長期間の別居などがこれにあたるとされています。
⑤裁判離婚について
裁判離婚とは,相手方が同意しなくても,裁判により一方的に離婚できる方法です。裁判離婚するためには,手続としては,離婚調停を先行する必要があり,要件としては,④離婚原因について述べた内容を満たす必要があります。
そのため,裁判では,法律の専門家である弁護士の力が必須と考えます。
万一,弁護士を付けずに裁判を進行した場合、多くの方は,法的な主張・立証が出来ず,敗訴してしまうことでしょう。
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